・頭金の準備が難しいけどローンは組めるかな?
・頭金って入れていたほうがいいの?
このような疑問にお応えします。
この記事の結論
- 頭金なしでも住宅ローンを組める金融機関は増えている
- 頭金なしならすぐに家を購入でき、完済時期も早くなる
- 頭金の分だけ借入額も高額になるため金融機関選びは慎重に
住宅ローンを検討していると気になるのが「頭金をどうするか」という問題。
頭金を用意するには数百万円が必要になるため、頭金の用意ができずに住宅購入を躊躇している人も多いものです。
しかし、住宅ローンは頭金なしでも組めます。
とはいえ、頭金なしで住宅ローンを組むには注意点もあるので、慎重に判断する必要があります。
この記事では、頭金なしで住宅ローンを組むメリットとデメリット、年齢別の注意点まで分かりやすく解説します。
この記事を読めば頭金なしで住宅ローンを組むかどうかの判断ができるよ!
頭金なしで住宅ローンを検討しているなら、まずはプロに相談することをおすすめします。
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頭金なしで家を購入できる?
マイホームを購入しようとなると「まず頭金を用意しないと…」と考える人は多いでしょう。
しかし、必ずしも頭金が必要というわけではないのです。
そもそも頭金とは
頭金とは、住宅購入費用のうち自己資金で用意する部分のことをいいます。
住宅購入額=住宅ローンの借入額+頭金
例えば、3,000万円の家を購入する場合、2,500万円を住宅ローンで賄うなら自己資金で用意できる500万円が頭金となるのです。
ただし、実際の住宅購入では住宅購入額以外にも手数料などの諸費用が発生します。
諸費用は物件価格の1割ほどになるため、住宅価格+諸費用を住宅ローンと自己資金で用意する必要がある点には注意が必要です。
頭金なしで住宅ローンは組めるが金融機関次第
頭金なしで住宅ローンを組むことは可能です。
ただし、金融機関によっては「物件価格の1割程度を自己資金として用意する必要がある」といったケースもあります。
また、物件価格については融資を受けられても、諸費用は別というケースもあるでしょう。
頭金なしで住宅ローンを組みたいと考えているのであれば、物件価格と諸費用の両方を住宅ローンで組める金融機関を探す必要があります。
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頭金の平均額はどのくらい?
頭金ってどれくらい必要なのかな?
国土交通省の「令和4年住宅経済関連データ」によると、1戸当たりの住宅建築資金に占める調達先別割合は以下の通りです。
- 自己資金:28.1%
- 借入金:71.9%
つまり、住宅購入資金のうち3割ほどが頭金となります。
また、フラット35を提供する住宅支援機構の調査によると、自己資金に対する融資額の比率を表す「融資率」は以下の通りです。
融資率 | 変動金利 | 固定期間選択型 | 全期間固定 |
---|---|---|---|
50%以下 | 10.6% | 12.0% | 17.3% |
50%超60%以下 | 7.2% | 10.8% | 9.0% |
60%超70%以下 | 8.0% | 15.4% | 7.5% |
70%超80%以下 | 11.1% | 15.8% | 13.5% |
80%超90%以下 | 18.1% | 15.8% | 21.1% |
90%超100%以下 | 32.9% | 19.3% | 23.3% |
100% | 11.9% | 10.8% | 8.3% |
「融資率」って家の購入額に対する融資の割合だよ!
上記のデータでは、80%から90%代で融資を受ける人が多い傾向があります。
おおよそ家の購入額の1割~2割ほどを頭金として用意する人が多いといえるでしょう。
例えば、3,000万円の家を購入する場合は、300万円~600万円が頭金の目安となるのです。
また、上記のデータによると融資率100%(頭金なし)でローンを組んでいる人も1割程いることが分かります。
フラット35は頭金が多い方が金利が安くなる商品だから、普通の住宅ローンより頭金の比率が多いんだワン!
関連:住宅ローンの平均借入額はどのくらい?自分に合った住宅ローンの見つけ方を解説
頭金なしで住宅ローンを組むデメリット【無謀?】
でも、「頭金なしでローン組むなんてありえない!」って親に言われたよ…
親世代の方々は頭金を用意してローンを組むことが当たり前だったので、そう言われても無理はないでしょう。
というのも、昔の日本は住宅ローン金利が3~5%と高水準だったため、なるべく借入額は減らした方が良かったためです。
しかし現在は金利が低いため、頭金無しのメリット・デメリットを比較して判断することが大切です。
まずは以下3点のデメリットから見ていきましょう。
借入額が大きくなる
頭金まで含めて借り入れることで、毎月の返済額の負担も増えます。
仮に、3,000万円の家を購入する場合の返済額を頭金ごとに見てみましょう。
頭金の額 | 0円 | 300万円 | 500万円 | 1,000万円 |
---|---|---|---|---|
借入額 | 3,000万円 | 2,700万円 | 2,500万円 | 2,000万円 |
返済額(毎月) | 84,685円 | 76,217円 | 70,571円 | 56,457円 |
返済総額 | 35,567,700円 | 32,011,140円 | 29,639,820円 | 23,711,940円 |
このように、頭金を500万円用意すると毎月の返済額が1万円以上下がります。
また、頭金を1,000万円用意した場合で頭金なしを比較すると、毎月の返済額は3万円ほど変わります。
頭金分まで借入れることで、毎月の負担が大きく完済までの期間も長くなる点には注意しましょう。
ただ、毎月5万円貯金しても500万円貯めるには8年ほどかかるワン…
金利が高くなる可能性がある
頭金なしのフルローンで借入れる場合、金利が高くなる可能性があります。
例えば、住宅支援機構のフラット35では、金利に次のような条件があるのです。
- 融資率9割以下:金利の範囲1.680%~3.270%(2023年1月)
- 融資率9割超:金利の範囲1.940%~3.530%(2023年1月)
このように、融資率9割超と以下では適用される金利が異なります。
また、フルローンでは審査も厳しくなる傾向があり、収入などによっては希望額の借入ができない可能性もあるので注意しましょう。
とは言え、最近主流の金利が低い変動金利では頭金額によって金利が変わることはほとんどないため、このデメリットはあまり気にする必要は無いでしょう。
変動金利での頭金なしのローンが気になる方は、住信SBIネット銀行の住宅ローン(対面申込コース)が相談できる「SBIマネープラザ」で無料相談するのがおすすめです。
担保割れを起こす可能性がある
住宅ローンの担保割れとは、不動産の評価額がローン残債よりも低い状況のことをいいます。
家を売却したとしても売却額がローン残債を下回ってしまう「オーバーローン」の状況です。
頭金なしでローンを組む場合、借入額が高くなるだけではなく返済期間も長くなる傾向があります。
長い返済期間中も家の価値は年々減少していくものです。
そのため、返済期間中に家の価値がローン残高を下回ってしまう可能性が高くなってしまいます。
担保割れすると何が問題なのかな?
住宅ローンの担保割れで問題となるのが、「ローンが返済できない状況」や「家を売却する」という場合です。
住宅ローンを借りる際は、万が一、返済が滞った時のために金融機関は家を担保として抵当権を設定します。
返済が滞った場合は、抵当権を使って強制的に家を売却してローン残債を回収するのです。
しかし、家を売っても売却額だけではローンを返済できない場合、自己資金で対応することになり、対応できなければ最悪自己破産になります。
また、ローンの滞りには関わらず家を売却するという場合もあるでしょう。
転勤や家族構成の変化・住み替えなどで一度買った家でも売却する可能性はゼロではありません。
家の売却にはローンの完済が必要です。
一般的には売却額でローンを完済しますが、担保割れの状態では売却だけではローンを完済できないため、不足分を自己資金で返済しなければなりません。
自己資金でローンを完済できなければ、そもそも売却ができなくなってしまうのです。
ずっと住み続けてローンを返済していけるなら大きな問題にはならないんだワン!
頭金なしで住宅ローンを組むメリット
デメリットを見てきましが、実は頭金なしで住宅ローンを組むメリットも多くあります。
メリットとしては、次の4つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
すぐに住宅を購入できる
家の額に対して1割の頭金を貯めるとしても、200万円~400万円ほどは用意する必要があります。
1割でも結構必要だよね…
親からの援助を受けずに自分たちでその額を0円から貯めようと思うと、数年はかかるでしょう。
頭金を貯めている期間はもちろん家を購入できないため、その間に魅力的な土地や良い家を見つけても、頭金がないからと購入機会を諦めることになってしまうのです。
また、家を購入できない期間でも賃貸の家賃は必要です。
賃貸も住宅ローンの返済も同じ「家」へのお金ですが、賃貸はあくまで大家さん=他人に支払うお金になります。
その点、住宅ローンの返済は将来の自分の資産の為=自分への支払いともいえるでしょう。
自己資金を手元に残せる
自己資金があれば頭金に出せばいいんじゃない?
自己資金がある状態なら頭金の用意はできますが、あえて頭金を利用しないという手もあります。
頭金を支払うと自己資金が大きく減少してしまいます。
その状態で、万が一、転職などで収入が減ることや子供の進学などで支出が大きく増えると対応できなくなる可能性があるでしょう。
また、家は購入後もお金がかかるものです。
毎年の固定資産税だけでなく、年数が経てば修理や設備の交換のための費用が必要でしょう。
また、台風などの災害で大きく損壊すれば、突発的な修繕費も高額になります。
自己資金が無くなってしまうと、それらの費用に対応できなくなる可能性があります。
自己資金がある場合でも、基本的にすべてを頭金に充てるのではなく、半年ほどの生活費は確保しておくことが大切です。
頭金を用意しないことで、自己資金を手元により多く残せるのは、生活するうえでは大きなメリットとなるでしょう。
住宅ローン控除を最大限活用できる
住宅ローンの額は住宅ローン控除の額にも関係しています。
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、一定額を所得税から控除できる税制優遇措置 。
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を最長13年間控除できます。
仮に、年末時点のローン残高が2,000万円なら14万円を控除できますが、1,500万円なら10.5万円です。
頭金まで含めて借入れることで、借入額を大きくでき控除額も最大限活用できるようになるのです。
早く返済を開始できる
頭金を用意するための数年間を短縮して、頭金なしで早く借入れることで返済自体も早く開始できます。
住宅ローンは30年や35年と言った長期の返済になるため、完済の年齢を考えておくことが重要です。
仮に、35年ローンを35歳でスタートすると、繰り上げ返済をしなければ完済は70歳となります。
65歳で定年を迎えた場合、残り5年間の収入は年金だけとなるので、年金やそれまでの貯蓄で返済しなければならず老後の生活の大きな負担となるでしょう。
反対に、25歳でローンを組めれば35年ローンでも完済は60歳と、現役中に完済が可能です。
少しでも早く返済をスタートして、定年前の収入が安定しているうちに完済できるのは老後を考えるうえで大きなメリットとなるでしょう。
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【年代別】頭金なしで住宅ローンを組む際の注意点
住宅ローンを何歳で組むかは、人それぞれです。
しかし、組む年代によって頭金なしの住宅ローンへの注意点が異なります。
ここでは、年代別の注意点を見ていきましょう。
【35歳】将来設計をしっかりシミュレーションしよう
30代は住宅ローンを組む人が多くなる年代でもあります。
年収や家族構成が安定しだすことから、住宅ローンを組みやすい年代ともいえます。
30代で住宅ローンを組む場合は、返済計画や将来設計を具体的にシミュレーションすることが大切です。
特に、将来的に子供の教育費が高くなる可能性を考慮して返済計画を立てることが重要です。
30代であれば、住宅ローンを組んだ当初は子供がいない場合や、いても小さい家庭も多いでしょう。
子供の誕生は嬉しいことですが、出産や成長に伴い今以上に支出は増えるものです。
「○年後には子供が大学進学で400万円」というように、長期的なライフイベントを予測して返済計画を具体的にシミュレーションしていかなければなりません。
また、35歳以降で30年以上のローンを組むと完済時期が65歳を超える点にも注意が必要です。
定年後にどのように返済するのか、定年時までに完済できるように貯蓄しておくのかまで考慮するようにしましょう。
無理に定年前に完済しようと月々の返済額を大きくすると、生活の負担が大きくなるから注意だワン!
【45歳】借入期間を短くしよう
40代で住宅ローンを借りる方も珍しくありません。
しかし、頭金なしで借りるとなると、完済時の年齢がネックとなるでしょう。
定年前に完済できるように、返済期間を20年~25年に設定しても問題のない給料や貯金額があれば、頭金なしで住宅ローンを組んでも大丈夫でしょう。
無理に返済期間を短くして毎月の返済額を大きくすると、住宅ローンを組めない可能性もあるので注意が必要です。
無理のない返済額を設定するうえでは、返済比率25%程が目安となります。
年収に対しての年間の返済額の割合
年収600万円で住宅ローンの年間返済額が150万円なら返済比率は25%だよ!
金融機関の審査では、返済比率の目安は30%~35%と言われています。
しかし、35%の返済比率で借入すると生活の負担が大きく、万が一、収入減や出費が大きくなった時に対応できなくなる可能性が高くなるものです。
25%以下であれば、負担を抑えて余裕を持って返済し続けられるでしょう。
【50代以上】退職金を返済に充てよう
50代以上で住宅ローンを組む場合は、より完済時の年齢に注意が必要です。
金融機関では完済までの年齢制限を設けていることが多く、80歳前後に設定している金融機関が一般的でしょう。
50代であっても条件上は20年や30年のローンは可能です。
とはいえ、定年後に長期のローン返済が残ると破綻する恐れも高くなり、借入額や返済期間によっては審査が厳しくなるので注意しましょう。
50代以上であれば、ある程度貯蓄を蓄えているケースが多く、頭金を用意できる人も多いものです。
反対に、50代で頭金の用意もない資産状況では、審査に通りにくい可能性もあります。
頭金がある場合は頭金分を借入時に使用するのではなく、老後資金として確保するのもおすすめです。
その場合は、退職金で住宅ローンを一括返済することで老後の生活不安を軽減できるでしょう。
退職金については会社の規定を事前に確認するのも大事だワン!
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頭金なしの住宅ローンはおすすめできる?
頭金なしと頭金ありってどっちがいいのかな?
住宅ローンの条件によっては、頭金なしで借り入れる方がメリットを受けやすい場合もあります。
低金利であれば頭金なしはおすすめ
頭金なしで住宅ローンを組む場合は、借入額が高額になることから金利に注意しなければなりません。
反対に、低金利の住宅ローンであれば、頭金なしのメリットを活かしやすくなるでしょう。
目安としては金利0.7%以下であれば、住宅ローン控除を利用することで金利負担を抑えられる可能性が高くなります。
例えば、3,000万円を金利0.7%・返済期間35年で組んだ場合を見てみましょう。
返済額は次のとおりです。
- 毎月返済額:80,556円
- 年間返済額:966,672円
- 返済総額:33,833,520円
仮に1月から返済をスタートした場合の住宅ローン控除額は次のようになります。
住宅ローン元金残高 | 年間返済額のうち利子分 | 住宅ローン控除額 | |
---|---|---|---|
1年目年末 | 29,304,353円 | 207,572円 | 205,130円 |
2年目年末 | 28,540,358円 | 202,231円 | 199,782円 |
このように、金利0.7%以下であれば住宅ローン控除額と利子負担額が同じくらいになるため、実質的な金利負担を抑えられるのです。
ただし、住宅ローン控除の終わる14年目からは金利負担が発生する点に注意が必要です。
14年目以降で繰り上げ返済していくのがおすすめだワン!
低金利でおすすめの住宅ローンについては、「住宅ローンはどこがいい?おすすめ住宅ローンランキング【金利タイプ別】」の記事で紹介しています。
今後は金利が高くなる可能性がある
住宅ローンを変動金利で組んだ場合、半年ごとに金利が見直されます。
金利見直しのタイミングで金利が上がってしまうと、金利負担が増え返済額も増加してしまうので注意しましょう。
特に、今後の住宅ローン金利は上がる可能性が高くなってきています。
世界各国がインフレ抑制のための利上げに踏み切る中、日本も2022年12月の日銀金融政策決定会合で事実上の利上げを行いました。
今後は不透明ではありますが、住宅ローンの金利が高くなる可能性は高くなっているといえるでしょう。
住宅ローンの金利については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連:住宅ローン金利相場をチェック!利上げの状況は?今後の住宅ローン金利について解説
最終的には個別の事情を考慮する必要がある
頭金が必要かどうかは、実際には個別の事情や希望によって異なるものです。
頭金分を親に援助してもらえる、もしくは頭金を入れても資産状況に余裕があるなら、頭金を入れて毎月の返済額を抑えるという方法があるでしょう。
早く家が欲しいからと頭金を入れないことで、家は買えても毎月の返済が厳しくなってしまうと、最終的には家を手放さなければならないケースもあるものです。
また、頭金分を老後資金に回したい、頭金を入れて教育費がかかる時期の返済負担を減らしたい、現役世代中に早く完済したいなど返済に希望プランも人それぞれあります。
それぞれの資産状況や今後のライフプランに応じて、適切な頭金や金利プランを選ぶことが大切なのです。
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特に、高額になる頭金なしで住宅ローンを借入れるなら、少しでも金利の低い金融機関を見つける必要があります。
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最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
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